OCTアップデートセミナー 矢野

黄斑部無血管帯(FAZ)と黄斑部血管密度について

既往なし、HT、DMのFAZを比べるとDMのFAZに拡大が多く見られるとの報告がある。

DMRの抗VEGF薬の反応性についても、網膜深層の血管密度減少、FAZ拡大、毛細血管瘤があることで反応が悪いことが予測される。

緑内障ではFAZの形が不規則で中心視野障害の症例では周辺視野障害型の症例と比べてFAZの面積が大きい。正常眼と比べて黄斑部血管密度は低下する。ただ、視野障害出現前の極早期から低下を認めている可能性は報告されているが、黄斑部血管密度は乳頭周囲血管密度と比べ、診断精度はやや劣るという報告がある。

その他にFAZの大きさでアルツハイマーのスクリーニングに有用では、という報告もある。

 

脈絡膜について

年齢と共に脈絡膜厚は薄くなる。近視や黄斑円孔でも薄くなる。原田病では炎症期に脈絡膜厚が増加し、ステロイド治療により減少する。これは脈絡膜の間質と血管腔のうち、間質の変化によるところが大きい。

網膜色素変性では全体に脈絡膜は薄い。中央(正常の部分)では間質と血管腔の比率も正常だが耳側と鼻側では間質の割合が大きくなり、血流が悪くなっていることが分かる。

AMDでは脈絡膜の内層が狭小化している。片眼性のAMDの5人に1人は僚眼にCNVが存在しているとの報告がある。

 

アンギオでの観察すべき点とアーチファクト、FAとの差について

得意分野は網膜の血流、無灌流領域と網膜新生血管、脈絡膜の血流、脈絡膜新生血管等。

FAの方が得意な毛細血管瘤による黄斑浮腫やCSC、PCVのポリープ検出等はアンギオでのアーチファクトに気をつける。アンギオでは毛細血管瘤は実際よりも少なく検出される。

BRVOの例では出血部位が初期のアンギオで無灌流領域として撮影される。抗VEGFを施行し、浮腫が減少してからのアンギオでは出血が吸収されており、無灌流領域が減少しているように撮影される。本当に減少したのかアンギオだけでは見極めが困難である。