フォーサム2016東京 コンタクトレンズ学会に参加 報告
カラーコンタクトレンズ
コンタクトレンズ関連角膜感染症の調査
カラーコンタクトレンズ関連角膜感染症の実態調査アンケート
全国大学病院にて3年間(2012’1月~2015’12月)
62大学病院から回答
28施設でアカントアメーバ角膜炎 緑膿菌角膜炎の症例報告あり中でも13施設においては重篤で入院が必要な症例もあった。2~4週間で感染治まり約2ヶ月で視力回復するパターン多い。
症例数が一番多かったのが、1番アカントアメーバ角膜炎 2番緑膿菌
重篤な感染症としては アカントアメーバの方が多かった。
美容目的としてカラーコンタクトレンズを インターネットなど安易に購入することが出来る今、
レンズのケアー レンズ選び(素材) 自己管理の重要性について確認及び徹底した指導を心がけたいと思った。
他にもカラーコンタクトレンズについては
フィッティング不良 素材 色素沈着による角膜上皮障害や感染症の報告がありカラーコンタクトレンズを使用している若者で眼科受診せず使用しているのが43.5%もいた。
最近の傾向として トラブル起こし受診した患者さんの中でも話を聞くと眼科受診2年3年ぶりという人が多い
なかこの間は5年未受診という人もいました。医療用具だという認識を持ってもらいたい。時間をかけての聞き取り指導は大事だと思う。
進化するMPS MPDS
ソフトコンタクタレンズ装用者の7割がレンズケア用品にマルチパーパスソリューションを使用。使用方法に個人差があり使用説明書通りに使用していないのが現状。
レンズの取り扱い、ケアのコンプライアンスの悪さが原因の感染症が増加している。
「多様な使用、環境でも消毒効果を十分に発揮できる消毒液」
日本で昨年 「日本初2種類の消毒成分を含む」
AMO商品「コンプリート リバイタレンズ」 アカントアメーバ 緑膿菌に消毒効果あり
こすり洗いしなくても 消毒効果発揮するらしく、レンズケアのちょっとしたミスを補ってくれるとのこと。
ただしこすり洗いは必須 と最後に付け加えはあった。
こすり洗いをしない場合は、他のケア用品と消毒効果の優位差はあったけれど、こすり洗い必須なので現状のケア用品、指導方法の徹底で良いと思った。
遠近両用ソフトコンタクトレンズへの切り替えに関する調査 梶田眼科
単焦点ソフトコンタクトレンズから初めて遠近両用に試みた患者さん74名のうち
処方59名 処方にいたらず15名 処方成功率 79.7%
「なじまなかった」との事で単焦点に戻ったのが6名いた。44才が平均的な切り替え時期であったが、
2割は処方に至らなかった。
初期の老眼でマルチに初トライする前に、現在使用中の単焦点レンズの度数は適正なのか?
生活環境を、聞き出した上で選択肢の中から選んでいくスタンスは変えなくて良いと実感できた。
低加入度ハードコンタクトレンズの有効性 大阪医大
30~55才対象 VDT作業による眼精疲労 初期老視を自覚している患者さん
加入度数 +0.50
頭痛 肩こりの改善
30~40才 近見作業が見やすくなった。
近見から遠見移動時のピントが合いやすいと報告
処方に至らなかった例 持ち込み乱視でドロップアウト
VDT作業の多い症例や初期の老視では、自覚症状が改善する場合がある。
眼精疲労の原因 生活環境(近見作業の長時間化)
加齢(調節力低下)
処方ミス(過矯正)
眼疾患
訴えの原因は何なのか把握することでレンズの素材やデザインは変わるので慎重に選びたい。
近視抑制と予防
中国の小学生 近業作業が長い人ほど近視化し 屋外活動時間が長いほど近視進行が抑制される。
屋外活動を1日1時間行ったところ13%減少抑制された。日光に当たることを推奨している。
今流行り?(昔からあったが・・)
アトロピン点眼 0.01%アトロピン点眼で 1~6年生 –6.0Dまで対象 2年間実施
リバウンドも少なく中止してからの抑制に効果あり
反応しにくい症例は 低学年で両親とも近視だった。日本人に効果あるか?
日本では検討していないので分からない。
近視抑制方法として 多焦点CL 30%
軸外収差眼鏡 20%
オルソケラトロジー 40~50%
低加入度数CL (add+0.50)がオルソケラトロジーより有効な点は 角膜感染症の危険が少ないことである。
オルソケラトロジーは 治療開始前の近視が強いほうが抑制効果も高い傾向にある。
効果を最大限に得るためには 開始及び中止 治療継続期間はいまだに不明。
今後の検討課題。
円錐角膜基礎講座 糸井眼科
糸井眼科 CL処方率 99%
円錐角膜専門 大学病院 成功率 95%
HCLを適切に選べば 100%に近い成功率で処方可能。
結果 CL装用困難に対して外科的治療移植手術になるのは5%ぐらい殆どHCL球面レンズで対応できる。
中等度 重度の円錐角膜の処方基本球面HCL
状況に応じて 多段階カーブHCLやピギーバックを使い分ける必要がある。
目的は 安定した視力が得られること
角膜に対して高い安全性があること
レンズが脱落しにくく長時間の装用が可能なこと
病変の進行抑制
中等度以上の円錐角膜で注意が必要なのは 上方のレンズエッジによる圧迫があると異物感眼痛訴えあり
上方10時~2時のべベルに集中してフィッティング確認
レンズの下方浮きは気にしない
圧迫防止として ベベル巾広く 高くの調整で良いセンタリングが得られる傾向にある
べベルの修正やMZ加工が可能なレンズを選択すること。
1日3~5時間ぐらいしか装用できない患者さんがいるが装用時間が延びればと思い経過観察している。
ご本人は、痛みさえ出なければいい。との事で今のところ満足されています。
球面HCLのデメリット
角膜上皮障害 角膜上皮過形成 アミロイド沈着
角膜上皮障害を繰り返すことにより角膜白斑をおこし視力低下につながる
予防としては レンズの汚れに注意する
特にMZ加工のミゾ部分につきやすく 院内でのレンズ洗浄及び患者さんへの洗浄指導を十分に行いたい。
ピギーバックに関して
患者さんの装用感もよく上皮障害を抑制することができるが 反面、コスト+手間という問題点もあるが
どーしてもの患者さんには1つの選択肢かな・・と思う。
ジクアス点眼の併用もありだと思った。
円錐角膜に関しては レンズの動き 安定性 サイズ フルオパターン たくさんのスライドを見させてもらい
勉強になりました。
目新しい情報
ジョンソン NEWレンズ 「1DAYアキュビューオアシス」 来年発売予定
プレミアムなレンズとして価格設定高く販売
デジタル端末を使用する成人 1日6時間
コンタクト装用時間 1日14時間
カナダ アメリカ 4千人を対象 25~30%装用中止ドロップアウト
アンケート結果では 不快感 乾燥感がダントツトップ
ドロップアウトを減らすことは 装用感の改善が必要
涙液層の安定と摩擦を軽減すために レンズの素材にシリコーン+ムチンを配合
新製品発表会には参加したい(日本での臨床評価発表予定)
今回の学会に参加させていただき いつもと違う刺激になり引き出しが増えたと思っています。
ありがとうございました。 若林佐代子